電力コラムCOLUMN

発電のごみ処理の一石二鳥?廃棄物発電についてご紹介します
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みなさんは、「ゴミ発電」という発電方法をご存知でしょうか?
「廃棄物発電」という呼び名のほうが一般的かもしれません。

東日本大震災以降、以前は原子力発電の割合が高めでしたが、この廃棄物発電が発展すれば現状よりも状況が良くなるのではないかと見られています。

今回は「廃棄物発電」についてご紹介します。

廃棄物発電の仕組み

廃棄物発電の仕組みはそれほど難しいものではありません。

廃棄物を燃やす→熱で蒸気を発生→蒸気でタービンを回転→回転によって電気を起こす

という仕組みとなっています。

廃棄物発電のメリット

廃棄物発電には、「ゴミの処理と発電を一緒に済ませることができる」というメリットがあります。
また、廃棄物を燃やした時の熱を使うので、化石燃料の消費量を下げる効果もあるのです。

さらには、日本国内で原料であるゴミを賄うことができます。
火力発電等は発電用の原料の多くを外国から輸入しているので、これは非常に大きなメリットだといえます。

風力発電や太陽光発電は、天候によって発電量が左右されるデメリットがありますが、廃棄物発電はごみの焼却ができれば発電が可能なので、安定して発電することが可能です。

廃棄物発電のデメリットと課題

良い事ばかりに見える廃棄物発電ですがデメリットもあります。

まず、「廃棄物を燃やすときに有害ガスが出る可能性がある」ということを忘れてはなりません。
電力を安定して供給するためには、プラスチックなども燃やさなければならないのです。

安全性を優先するのであれば、「一般的な燃えるごみ」を使えば良いのですが、それでは十分な発電量になりません。

プラスチックごみなどに、たくさんの塩化水素が含有されている場合、そのガスの影響でボイラーや焼却炉がダメージを受けてしまいます。
蒸気を高熱にし過ぎないことが重要なのですが、それでは発電量が下がってしまいます。
したがって、「高熱に耐えられる焼却炉やボイラーを作る」のがベストと言えるでしょう。

他にも、「廃棄物焼却炉の規模」という問題があります。

ほとんどの廃棄物焼却炉の規模は小さく、大規模な焼却施設は現状多くはありません。
廃棄物発電は中規模の施設でも進められていますが、燃焼させる廃棄物に依存するので、大規模な施設でない場合は発電量が安定しないという欠点があります。

そのため、「発生させた電気を、すべて施設内で消費する」状態の施設がほとんどです(それでも、外部から電気を持ってくる必要がないので意味があります)。

廃棄物発電のデメリットはカバーされつつある

ですが、これらのデメリットは徐々に克服されつつあります。

まず、国が焼却施設の大規模化を進めていますので、近いうちに「小さな廃棄物焼却施設がほとんど」という状況は打開されると考えられています。

また、ゴミに含まれている不純物や水気をカットした「RDF(固形化燃料)」を用いる「RDF発電」が導入されてきています。
RDF発電であれば、あまりダイオキシンが出ません。

RDF製造を行っている地方自治体では、通常の廃棄物焼却よりも費用を40パーセントほどカットできているようです。
ただし、RDFは発酵の影響で熱を持ち、発火する可能性があるので、RDFを扱う場合は厳密な管理体制が必要になります。

ほかにも、「ガス化溶融発電」や「スーパーごみ発電」等、廃棄物発電に関して色々な研究開発が行われています。

廃棄物発電に関して

繰り返しになりますが、廃棄物発電のエネルギー源はゴミです。

技術力の向上によって発電量を上げることはできるかもしれませんが、「廃棄物発電による発電量を高めるには、さらにゴミを増やす必要がある」という側面も否定することはできません。

だからと言って「もう少しゴミを生み出そう」と考えるのは本末転倒ですので、これまでと同じように、「ゴミを減らそう」「ゴミはきちんと区別しよう」「できる限りゴミはリサイクルしよう」という意識を持って生活する姿勢が大切でしょう。