電力コラムCOLUMN

電気の力で命を救う『AED』~AEDの活用事例や使用方法、学び方をお伝えします!
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「AED」は今では幅広く知られるようになり、病院だけではなく学校や駅、公共施設、企業などに設置されているのを見かけるようになりました。
市民がAEDを活用した応急手当の講習を受ける機会は増加傾向にあり、毎年全国で約140万人が「普通救命講習」を受講しているそうです。

突然の心臓停止は年間で約7万人、1日に約200人発生すると言われていて、7.5分に1人が心臓停止で亡くなられています。

心臓停止状態が3分を超えると死亡率が5割を超えるといわれており、AEDによる迅速な処置が求められます。
ここでは電気を利用した「AED」はそもそもどのような仕組みになっているのか、またどのように活用されていて、私たちがどのように活用すべきなのか見ていきたいと思います。

『AED』はこのように活用されています

少し以前の話になりますが、ものまね芸人の松村邦弘さんが、マラソン参加中に突然意識をなくされたということがありました。

これは2009年3月に行われた東京マラソンへ出場した際、松村さんが15キロ地点あたりで突然意識をなくして倒れたのです。
泡を吹いていて、呼びかけにも反応はなかったそうです。

大会中の急病者に対応するために待機していた医師らが駆けつけ、心肺停止していることを確認。
その場ですぐにAEDで処置を行うと、心臓の鼓動や呼吸が回復したそうです。

ちなみに松村さんには心臓の持病はなく、急性のものだったと事務所から発表されています。

ご本人も周りの方も驚いたかと思いますが、このような場面に出くわして市民がAEDを活用するという事例が増えています。

消防庁のまとめによると、平成30年度ではAEDを1260人に対して使用したという報告があり、対象者の1か月後の生存者数は674人、1か月後の生存率は53.5%になっています。

ちなみに、処置を行わなかった場合の1か月後の生存率は9.4%だそうで、AEDの重要さが理解できるのではないでしょうか。

『AED』と『心室細動』

松村邦弘さんが倒れた原因ですが、急性心筋梗塞による心室細動と発表されました。
「心室細動」は、危険な不整脈と言われていて、急に心臓が震えだし血液が送り出せない状態となります。

この状態を医学的には「心停止」と呼ぶそうですが、心臓が止まって数分が経過すると、脳をはじめ、さまざまな細胞が死んでしまいます。

これにより、心停止を来した場合は迅速な心肺蘇生術の処置が必要になります。
そのために2004年から一般市民でも「AED」が活用できるように整備が進んできたのですね。

私たちの心臓が「心室細動」を起こしてしまうと、唯一の治療法が電気ショックであると言われています。

この「AED」は、1分1秒でも早く使用したほうが、処置の成功率は高いと言われます。
1分遅れただけでも生存率が10%程度下がることが分かっています。

しかし119番通報をしてから救急車が到着するまでの平均時間は、約8.6分といわれていますので、我々一般市民がAEDをうまく活用しなければなりません。

『AED』の使用方法と学び方

『AED』は操作方法を音声でお知らせしてくれますので、はじめての人でも簡単に使用することができるようになっています。

『AED』のフタを開けると自動的に電源が入る仕組みになっていて、電極パッドを心臓を挟み込むように2枚貼ります。
ボタンを押すと電気ショックが流れる仕組みになっています。

この処置を一人で行うのは難しいので、

・救急車に連絡する人
・AEDを取りに行く人
・処置をする人

など、複数人で対応することになります。
そのためいろんな場面を想定した対応方法を学んでおくことをおすすめします。

各消防署では『普通救命講習』において、AEDを含めた救急救命の方法を無料で学ぶことができます。
各消防署や役所などで定期的に講習が開催されていますので、確認してみてください。

また企業や自治体など、一定以上の人数が集まれば消防署から出張で講習してもらえますので問い合わせをしてみるといいでしょう。