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地熱発電の仕組みやメリット・デメリットについて
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地熱発電とは?ネオ・コーポレーション電力コラム

 

地熱発電の仕組み

地熱発電とは、簡単に言うと「地中から発生する自然の蒸気を使って電気を作る発電形式」のことです。

具体的には「地中のマグマの熱エネルギー」によって電気を発生させます。
「普通の雨水」が地面に落ち、長い時間をかけてマグマ層にまで到達すると、マグマの熱の影響で「蒸気」に変化し、地下付近に蓄積します。
この「高音の蒸気」は井戸等を掘ることで採取することができます。そして、蒸気の力でタービンを回転させて、発電させます。

 

主に2種類の地熱発電があります

地熱発電には主に2種類あります。
それは「フラッシュタイプ」と「バイナリタイプ」です。

 

1:フラッシュタイプ

地下に存在する「熱水の貯留層」から蒸気を、鋼管杭を使って採取します。
採取した蒸気でタービンを回転させます。

「地下から超高温の熱水(200度以上)をくみ上げることが可能なケース」では、このフラッシュタイプを採用すべきです。

ちなみに、発電に用いられた後の蒸気は「冷却塔」によって水に変化します。
また、水に戻さずに、施設の暖房、農業用の温室などでそのまま再利用する場合もあります。

 

2:バイナリタイプ

「『沸点の低い他の流体』の温度を、熱水によって強制的に上げて発生させた蒸気」を使って、タービンを回転させる形式です。

既存の温泉井戸や温泉熱を利用して発電できますし、まだ導入を進められるだけの伸びしろはあります。
「地下を新規に掘り起こす工程」が基本的にありませんから、自然への悪影響が少ない発電形式であると言えます。

地下から採取する熱水の温度も100度ほどですから、今ある温泉施設等に追加で発電施設を作ることができます。

 

地熱発電のメリット・デメリット

続いて地熱発電のメリット・デメリットを挙げていきます。

 

地熱発電の主なメリット

・発電時の二酸化炭素の発生量が少ない

地熱発電であれば、二酸化炭素をほとんど発生させることなく電気を生み出すことが可能です。

・エネルギーが尽きることがない

「マグマの熱」によって発電しますから、エネルギー源が尽きることがありません。
また、「日本は位置的に地熱資源が多い」とも言えます。

・天候の影響を受けない

風力発電あれば風量などによって、太陽光発電であれば日射量などによって、発電量がどうしても左右されてしまいます。
ですが、「マグマの熱エネルギーの量」は天候によって変化することがありません。

・純国産エネルギーで発電できる

地熱発電は「純国産のエネルギーを使った発電」です。
国外輸入に依存することもあり得ませんから、価格が大きく変動することはまずありません。

 

地熱発電の主なデメリット

・発電設備開発の難易度が高い

「地質調査」を念入りに行ってからでないと、地熱発電施設を作ることができません。
また、「発電方式」や「発電規模」を土地によって調整する必要があるため、工事が完了するまでに非常に大きな費用・労力・時間を消費することとなります。

「地熱発電にはメリットが多く、日本は地熱発電に適した環境でもあるのに、なぜ国内であまり普及しないのか」と言われることがありますが、まずはこの辺りの問題を改善する必要があると言えます。

・地域産業や自然に影響を与え得る

地熱発電をしやすいのは「自然豊かな場所」ですが、そういった場所には既に温泉地や国立公園などがある可能性が高いです。
温泉資源を使って地熱発電をしようとすれば、そのエリアの観光産業・温泉産業に影響が及ぶことになります。
また、自然保護区域に人の手が入るとなれば、自然破壊が発生するリスクがあります。

では、どうすればいいのでしょうか。
「地熱発電そのものを大きく変えて、環境への影響が少ないものにする」ということは、現状ではほぼ不可能です。

となると、「地元住民との話し合い」「そもそもの場所選びに力を入れる」などの工夫が大事になると言えます。

・振動や騒音

地熱発電所を作るには、井戸を掘るなどの大々的な工事を行う必要があります。
その際に、非常に大きな振動や騒音が発生することは避けられませんし、工事期間が長期になる事も考えられます。

 

地熱発電の「現在」と「今後」

「国ごとの地熱資源量」という観点で見ると、日本は3位になると言われています(1位はアメリカ、2位はインドネシア)。
ですが、「地熱発電の稼働量」で考えると、日本は10位前後であるとされています。
つまり、「日本は、今のところ地熱資源を活用し切れていない」と言わざるを得ないのです。

ですが、「国定・国立公園の解放(一部)」や「補助金支援」など、国を挙げて地熱発電に力を入れようとしている動きが見えることは確かです。

さらに、運転スタート後の蒸気量のキープ、地面を掘るコストの削減、地面を掘る期間の短縮、地下構造の調査精度のアップなど、地熱発電をより高効率・低リスクで進めていくための、技術開発も進行しています。