電力コラムCOLUMN

地球環境とエネルギーについて
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地球環境とエネルギー問題に関して

メタンやCO2(二酸化炭素)などの気体のことを「温室効果ガス」と言います。温室効果ガスには熱が地表から逃げることを阻害する作用があります。
そして、「日本国内における温室効果ガスの発生由来」のおよそ9割が、「CO2発生量から、廃棄物や工業プロセス等を差し引いたもの」となっており、この類のCO2のことを「エネルギー由来のCO2」と言います。
ちなみに、工業プロセスとは「石灰石にセメントの焼成キルン等で熱を加えることにより、CO2を生じさせる生産プロセス」のことです。

そして、トータルのCO2発生量のうちのおよそ4割が「一般電気事業者が発生させるもの」であり、電源構成にかなりの影響を及ぼしています。

地球温暖化と温室効果ガスの関係性

大気中の温室効果ガス量が多くなることで、「地球の赤外線(熱)が、宇宙へと移動しにくくなる」という状態になります。その影響で地表の温度が上がり、地球温暖化や異常気象が発生していると言われています。
近年、大雨が盛んに降るようになったり、極度に気温が上がったりすることが多くなっていますが、これにも地球温暖化が関わっていると見られています。

では、なぜ地球温暖化の影響で大雨が降りやすくなるのでしょうか。
それは地球の平均温度が上がることで、地面の水分が大気中に逃げやすくなり、言わば「雨の種」が多くなってきているからです。
理論上、「地面の温度が上がれば上がるほど、大気中の水分が多くなる」ため、地球温暖化が悪化すればするほど、大雨が降りやすくなると言えます。

温室効果ガスの発生量を落とさなければなりません

これらの減少を食い止めるためには、やはり温室効果ガスの発生量を地球全体で落とさなければなりません。
実際、国連の温暖化交渉において、「産業以前を基準として、気温(世界平均)上昇を2℃以内にしなければならない」という科学的見解が共有されました。

日本においても、「美しい星50(クールアース50)」という提案が、当時の内閣総理大臣から出されています。
これは具体的に言うと、「2050年までに世界の温室効果ガスの発生量を半分にする」という目標です。
ですが、温室効果ガスの発生量は今なお増え続けています。
そのため、美しい星50をクリアすることはほぼ不可能ではないかと見られています。

「美しい星50を本当に達成しようと考えるのであれば、温室効果ガスを吸収し、実質の発生量をマイナスにしなければならない」という説さえ存在するくらいです。

温室効果ガスの発生量を落とす必要性があることは確かです

美しい星50を実現するためには、

・CO2の地中貯蓄技術の開発と導入にかかるコスト
・社会基盤の大規模な変革に伴う世界的混乱
・その他の各種経済的コスト

などを乗り越えなければなりません。

となると「結局のところ美しい星50を達成することは不可能なのだから、今後も何も気にせずに温室効果ガスを発生させ続けてよい」と考えたくなるかもしれません。
しかし、そのように開き直ると人類は大きなデメリットを被ることになります。

地球温暖化がエスカレートし続けるとどうなるのか

あくまで予想ですが、人類がこのままのペースでエネルギーを生成・消費し、温室効果ガスを発生させ続け、発生量を上げ続けるとすると、2070年までに地球全体の平均気温が約3度上がるとされています。

そして、同じく2070年までに「多くの人が体験する気温上昇」が7~8度になると言われています。なぜなら「海に比べると陸地のほうが、地球温暖化が早く進行しやすく、人口増加は暑い地域に偏って発生する」と見られているからです。

また、現在のところ「年間の平均気温が29度に到達している場所」は、陸地のうちの1パーセント前後とされていますが、2070年には19パーセント程度になると予測されています。

その影響で2070年頃には35億人が、「本来人類が暮らすにふさわしい気候ではない地域」に住むことになると言われています。
「人間という生物の性質」がそれまでに変化する可能性もないとは言い切れませんが、さすがに「地球温暖化に問題なく適応できる」というレベルで変わることはないと思われます。

地球温暖化が1度遅くなれば10億人が助かるという説も

今のところ、「地球温暖化が今の水準から1度進行すると、およそ10億人が『人が住むのに適した環境』から溢れる」と言われています。
これは逆に言えば「10億人を助けるためには、1度下げればいい」ということでもあります。

「エネルギーの生成・消費を見直し、温室効果ガスの発生量を減らしましょう」などと語るときには、どうしても経済的視点が外せません。
しかし、それだけでなく「人道的視点」も取り入れた上で話を進めていく必要があると言えるでしょう。

環境問題については、「自分が生きているうちには大きな問題は起きない」という発想が邪魔になることがありますが、「2070年」と言われればそのような楽観論に逃げるわけにもいかないはずです。