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地産地消型新電力について
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地産地消型新電力とは?|メリット・デメリットは?

地産地消型電力とは、「その地域で発電して、その土地で消費する電力」のことです。
農業などで言うところの「地産地消」と発想が似ています。

そして新電力とは、「電力自由化以降に新規参入した、電力販売を行う企業(が生み出す電力)」のことを指します。
新電力も電気を小売りすることが可能となりましたから、「地産地消電力を専門に扱う企業」も増えてきています。

地産地消型新電力は主に3タイプ

1:地方自治体主導の新電力

「電力の地産地消を目的とする電力会社のうち、メインの出資者が地方自治体であるところ」のことです。そのエリアの企業や、エネルギー関連の企業が出資者である場合も少なくありません。
出資を検討している地方自治体もあり、この先さらに出資者が増加していくものと思われます。

さて、「電力の地産地消」に地方自治体が力を入れている理由の一つに、「地域の雇用を増やしたい」という狙いがあります。
また、「安価な電力」をアピールポイントとして、企業誘致を進める地方自治体も多いです。

2:地域で生み出された電力を購入して、小売りを行う新電力

「地域出身者が手掛ける新規企業」や「エネルギー関連企業」など、色々な企業が、地域で生産された電力を買い取り、小売りしています。

具体的な企業としては、

坊ちゃん電力:デンカシンキ(太陽光発電パネルなどを扱う企業)の子会社
はりま電力:ダイワ(液化石油ガスなどを販売する企業)が設立

などがあります。
このタイプの新電力には、「電気料金が低い」などの魅力があります。

3:自家発電施設で作った電力を、地域に小売りする新電力

「企業が、自社で保有している施設を利用して電気を生み出し、それを地域の需要家に売る」という形式です。

「日立造船」が、運営管理を受託している長崎県のごみ焼却発電施設において、「『ゴミを燃やす際に生み出した電力』を自社用にある程度確保しつつ、地元企業や公共施設などにも提供している」事例があります。

地産地消型新電力の主なメリット

続いて地産地消型新電力のメリットを挙げます。

1:送電ロスが減る

「発電する場所」と「その電力を使う場所」の距離が長いほど、いわゆる「送電ロス」が増えてしまいます。
大手電力会社には「大量の電気を安定して生み出せる」という長所がありますが、送電ロスが多くなりやすいため、「省エネ」という観点においては課題を抱えています。

ですが、地産地消型新電力であれば、言うまでもなく送電ロスが少なくて済みます。

2:環境への負担が少ない

「地産地消モデル」における発電は、

・太陽光発電システム
・風力発電
・エネファーム
・ごみ処理場の発電システム

など環境への負担が少ないもので行われます。

3:大規模な発電設備がいらない

「地域で生み出し、その地域で使う」のが基本ですから、大規模な発電設備を新設する必要がありません。
つまり、「参入しやすい」という事でもありますから、再生可能エネルギー(太陽光発電など)の普及にもつながると言えます。

4:災害時でもエネルギー供給が絶たれにくい

「数少ない大規模発電設備だけが電気を生み出す」という環境の場合、災害などの影響でその発電設備がストップすると、電力不足が発生する可能性が高いです。
ですが地域地産地消型新電力が広まり、電源が増えれば、災害時でも電力の供給が絶たれにくくなります。
言わば「エネルギー供給源の分散」です。

ちなみに、この考え方は東日本大震災以降から特に注目されるようになりました。

地産地消型新電力の主なデメリットと課題

次に地産地消型新電力のデメリットを紹介します。

1:コストパフォーマンスが悪くなりやすい

「電力」には、「遠くまで一瞬で送ることができる」という性質があり、流通費用の低い商品と言えます。
そのため、「大規模な発電所を設け、一つの電源で効率よく、多くの対象に電力を供給する」ことができるのです。
一方、地産地消型新電力の場合は、
「小規模な電源で、少ない対象に電力を供給する」という状況になりやすいため、コストパフォーマンスが低くなる傾向にあります。

広く「発電」というものに関しては、「安定供給・省エネなどを優先すると、高コストになりやすいこと」が常に課題になってしまうのです。

2:電気料金が高くなる場合もある

先述の「はりま電力」や「坊ちゃん電力」のように電気料金を低くできている事例もあります。
しかし、「コストパフォーマンスが低いため電気料金を上げざるを得なくなっている新電力」が存在することも確かです。

また、「エリア内に競合他社がほとんどいないことが原因で価格競争が発生せず、その影響で電気料金が高くなる」というパターンもあります。

3:天候の影響を受けやすい

特に「太陽光発電システム」や「風力発電」などは天気の影響を受けやすいです。
そのため、日常的な電力のニーズをカバーしきれなくなる可能性も否定できません。