電力コラムCOLUMN

値上げが続く電気代|電気料金が上がる理由とは?
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大手電力10社が電気料金の大幅値上げに踏み切る

2021年9月、大手電力会社10社が「11月の電気代」を大幅に値上げすると発表しました。

10月の電気代と比較して、

沖縄電力:171円
中国電力:135円
東京電力:133円
中部電力:133円

アップする見込みです。

そして2021年になってからの値上げ幅は12.3パーセント(10社平均)となっています。
また、中部電力と東京電力以外の8社に関しては、直近5年で一番高い水準に到達しています。

それでいて、労働者の平均賃金は「2010年→2020年」で3.9パーセントしか上がっていません(厚生労働省:賃金構造基本統計調査より)。
日本はいわゆる「低成長」から脱却できていません。
そのため「電気料金の値上げ」は目立たないながらも、確実に家計への負担になっていると言えるでしょう。

電気代が値上がりしている理由は?

日本の電気代が値上がりしている大きな理由の一つに「液化天然ガス(LNG)」等をはじめとする、「火力発電のための燃料」の値段の上昇があると見られています。

「脱炭素社会」を2050年までに果たすべく、日本政府は「再生可能エネルギーの取り入れ」を掲げています。
ですが今のところ、日本は電力の約4分の3を石油火力や液化天然ガスに依存している状態です。分かりやすく言えば「火力大国」なのです。

特に「液化天然ガス由来火力」の割合が高い(2019年度で37パーセント)ため、「液化天然ガスの輸入コストが、電気料金に大きな影響を与える(電気料金を上げることで、輸入コストをカバーする)」という状況になっています。

2020年末の大寒波も原因の一つ

2020年末に大寒波が、韓国、中国、日本などを襲いました。
その影響で液化天然ガスに対する需要が急激に上昇し、供給対応をしようとした米国産の液化天然ガスが、パナマ運河で大きく渋滞することとなりました。
そして「スポット液化天然ガスの輸送力」が世界的にダウンして、「液化天然ガスを取り巻く環境」が地球規模で逼迫しました。

それを受け、2021年1月には液化天然ガスのJKMにおけるスポット価格が32.5ドルにまで上がりました。これは歴史上一番高い価格です。
(JKM(ジャパンコリアマーカー):アジア市場のスポット値の指標)

この高値に吸い寄せられ、多くのスポット液化天然ガスが北東アジアに輸入されました。

その影響を受け、ヨーロッパへのスポット液化天然ガス輸入量が大幅に下がり、「地下在庫を利用してしのぐ」というステージに入りました。
そして4~5月頃に気温が下がったため、地下在庫を補充することが叶わず、2021年8月の段階で貯蔵能力がおよそ3分の2までダウンしてしまいました。

ロシアがヨーロッパに対する液化天然ガスの供給を渋っている?

「ヨーロッパが液化天然ガスなどを強く求めている」にもかかわらず、ガスプロム(ロシア政府系企業)が2021年1月~8月までにヨーロッパに送った天然ガス量は「前年同期比2パーセント増」でしかありません。2021年8月だけで見れば12パーセントダウンしています。
特に「ウクライナを介するガス供給量」が大きくダウンしており、2020年1月頃に下がり始めてからというもの、戻っていません。

そしてガスプロムは「ノルドストリーム2」を完成させました。
これは、「バルト海を介して、天然ガスをドイツに供給するためのパイプライン」です。
「ロシアが、ヨーロッパへの天然ガス供給量を下げる理由」の一つに、このノルドストリーム2があるとされています。

「石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)」は、「ガスプロムが、ウクライナを介した天然ガス輸出量をアップさせない理由」は主に3つあると考えているようです。

1:「ヨーロッパへのガス供給量が足りない」という状況を疑似的に作り、「エネルギー安全保障的に、ノルドストリーム2が欠かせない」というアピールをしたかった

2:「天然ガスによりウクライナが得る利益」を大きくしたくなかった

3:ヨーロッパの天然ガス価格を継続的に上げておきたかった

ちなみに「石油天然ガス・金属鉱物資源機構」は、「ヨーロッパのガスを巡る国家同士の諍いが、日本のスポットLNGの値段にここまで多大な影響を及ぼすとは、10年前であればほとんど誰も考えなかった」と言っています。

何をすれば電気料金の値上がりを止めることができるのか

「原発再稼働」が進んでいますが、それでも「今後の液化天然ガスの値上がり」をカバーすることはできないという見込みであり、電気料金がさらに上がり続けることが予想されています。

そして電気料金を下げるためには「火力発電の割合を落とす」しかないと言えます。
それを実現するには脱炭素だけでなく、「低コストの再生可能エネルギー」の迅速な導入が必要になると見られています。

いずれにせよ電気料金は今後もしばらく上がり続けることでしょう。
「家庭」というレベルで考えれば、地道な節電などに努めるしかないと言わざるを得ません。