電力コラムCOLUMN

特別高圧電力について
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早い段階で自由化されていた「特別高圧電力」

電力自由化が一般家庭を対象にスタートしたのは2016年のことですが、実はそれより前に「会社向け」「工場向け」としてはスタートしていました。

ただ、工場等を対象にした電力自由化に関しては、最初のうちは「特別高圧」についてのみ自由化されていました。
しかし、自由化のフィールドが広くなり、今では「50キロワット以上であれば、電力を新規電力企業から買っても良い」というルールになっています。
そして結局、現状で自由化が認められているのは、「特別高圧電力」「高圧電力」「低圧電力」の3種類です。

ここではそのうちの特別高圧電力について解説していきます。
特に工場などを運営している方にとっては、密接に関係してくる話かもしれません。

特別高圧電力の特徴やメリット

「特別高圧電力」の最大の特徴は、その名の通り電圧が特に高いことであり、設備の規模も必然的に大きくなります。
具体的に言うと、基本的に「契約電力が2000キロワット以上、受電電圧が2万ボルト以上」である場合に、特別高圧電力に該当する事になります。

また、単に「特別高圧電力」と言っても、「特別高圧電力A」と「特別高圧電力B」があります。

そして、主にこれらのフィールドでそれぞれの特別高圧電力が利用されています。

特別高圧電力A:医療機関、オフィスビル、デパート
特別高圧電力B:規模の大きな工場、鉄道業

当然、通常の高圧電力や低圧電力に比べると電気料金が高くなりますし、かなりの維持・管理コストがかかる事になります。

しかし、「従量料金が低い」という価格面のメリットもあります。
ただ、あくまで「傾向」に過ぎませんので、詳しい料金設定については契約前にお確かめください。

特別高圧電力を安全に使うために

特別高圧電力に設けられている安全使用のための基準は非常に厳格なものとなっています。

まず、災害や感電を防ぐため離隔距離が決められています。
なぜなら、導体の絶縁が行われていない事が少なくなく、空中放電する可能性があるからです。
ちなみに、特別高圧電力のための電線の半径2メートル程度に侵入すると、それだけで黒焦げになるほど感電すると言われています。

また、特別高圧電力を使う工場や企業のスタッフは、労働安全衛生規則を厳守しなければなりません。
講習会にも参加しなければなりません。
ちなみに、この講習会は電気保安協会等が主催しています。

特別高圧電力の電気料金を下げるためにできること

そもそもの料金が高い特別高圧電力ですが、できる限り安く使うためにはどうすればいいのでしょうか。

まず、ピークタイムが夕方と朝方という2種類の電力の契約を結んでいるのであれば一本化することをおすすめします。そうすることで、基本料金がダウンします。

また、それぞれ別の電力企業から、ピーク電力(変動する)とベース電力(変動しない)を買うというのも良いでしょう(電源を2つ以上用意して同タイミングで電気を持ってくる)。
そうすれば、トータルの電気代がダウンするかもしれません。

電力企業ごとに特別高圧電力の代金プランは異なります。
電気料金を落としたいのであれば、一度問い合わせてみることを推奨します。
特別高圧電力は元々の料金が高いので、予想よりも下げ幅が大きくなるかもしれません。

色々な電力企業から見積もりを取りましょう

特別高圧電力に限った話ではありませんが、電気料金を下げたいのであれば複数の企業から見積もりを取って、価格などを比較してみることをおすすめします。

電力企業を一つ一つチェックしていると時間がかかってしまいますが、「一括見積もりサービス」を利用すると、複数の電力会社に一度に見積もり依頼を出すことができますので、必要に応じて利用してみましょう。

特別高圧電力は停電しないのか

「特別高圧電力は停電しないのか」という疑問を抱く人が少なくないようです。
確かに、病院や鉄道業などで使われるわけですから、停電が頻繁に発生するようでは困ります。
しかし、特別高圧電力も単なる電力形式の一種に過ぎませんから、停電を完全に避けることはできません。

ですが、特別高圧電力の場合は2回線以上の(『本線』と『予備線』など)受電形式が採用されますので、停電が発生しても素早く復旧させることが可能です。
一例として、本線に停電が発生したのであれば、すぐに予備線にチェンジすることで、電力を送り続けることができます。この際、停電するのは「本線から予備線への切り替え作業が済むまでの時間」だけです。

ちなみに、都市部では3回線を用いて受電する「スポットネットワーク受電」という形式を選択している企業が多いです(ただし、契約電力が2000キロワット未満の場合はこの形式を選ぶことはできません)。

無電圧投入、差電圧投入、逆電力遮断など色々なことができますので、「一番停電が発生しにくい形式」と評されています。