電力コラムCOLUMN

西日本集中豪雨が原因で発生した電力被害とその対応について
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「西日本集中豪雨」とは、2018年の6月末~7月上旬頃にかけて西日本を中心に発生した集中的な豪雨のことです。
これにより、被災地をメインとしてトータルで約25.4万戸において停電が起きたと言われています。

浸水が発生した変電所や道路が寸断されたエリアにおいては復旧作業がなかなか進行しませんでしたが、別地域の電力企業のサポートもあり、約1週間で西日本集中豪雨を原因とする停電からの復旧にたどりつきました。

中国電力の対応

中国電力が管轄する範囲においては、トータルでおよそ19.3万戸が停電しました。
一番重いダメージを被ったのは沼田西変電所(広島県三原市)であり、1.1万戸に対する送電が行えなくなるタイミングがあったほどです。

これらを受けて、中国電力は他の各電力会社に向けて応援派遣の依頼を出しました。
ちなみにこれは、1991年に台風が発生したとき以来のことです。

北陸電力、中部電力、九州電力、関西電力の高圧発電機車約60台と、スタッフ約350名が被災地に駆けつけ、急遽電気を送ることとなりました。

また、高知県大豊町や安芸市では道路が寸断されたことが原因で、およそ100世帯で発生した停電をなかなか復旧させることができませんでした。
しかしこれについても、ヘリコプターでミニ携帯用発電機を届けるなどして対応しました。

災害が原因で被害が発生した際の電力企業の対応方針について

西日本集中豪雨において各電力企業が被災地のために行った主な対応を紹介しました。

そして、「災害が発生した際には、互いにサポートしあって停電の復旧に取り組む」という取り決めが、大手電力企業10社において成されています。
西日本集中豪雨においても行われたように、被災地の電力企業がサポートを求めれば、サポートスタッフを現地などに向かわせることになっています。

例えば、熊本地震(2016年)のときには、高圧発電機車約110台と、スタッフ約600人が被災地に向かいました。

ボランティア活動を行う際の注意点

西日本集中豪雨に限らず、災害などを原因とする被害が発生した地域が、ボランティアスタッフを募集することがあります。
もちろん、そういった被災地をサポートするのは素晴らしいことですが、いくつか注意点もありますので、ここで紹介していきます。

まずは情報収集をしましょう

「そもそもボランティアスタッフを募集していない」という可能性もあります。

そういった場合でも「被災地は被害を受けて困っているのだから、ボランティアとして駆けつけることが無駄になることはない」と感じるかもしれません。

しかし、そういった考えは間違いです。
ボランティア人員を受け入れられるだけの状況になっていなければ、「無駄にはならない」どころか、かえって迷惑をかけてしまう可能性が高いです。
ですから、まずは各団体のウェブサイトなどで情報をチェックして、本当にボランティアとして被災地に向かうべきタイミングなのかどうかを見極めてください。

ちなみに、被災地に電話で「ボランティアは必要ですか?」などと質問するのもNGです。
そういった対応に割くための人員や時間も、被災地の関係者からすると惜しいからです。

被災地にボランティアに向かう前に準備を

被災地がボランティアスタッフを募集していることが判明しても、慌てて現地に向かってはいけません。

まずは、「ボランティア保険」に入っておくことをおすすめします。
(社会福祉協議会などで手続きができます)

それから、ボランティア人員が作業中に負傷する事例も少なくありませんので、インソールやヘルメットなどを持参しましょう。その他、ウェブサイトの説明や、現地の職員からの指示にも必ず従ってください。

また、現地では電気が確保できない可能性もなくはないので、懐中電灯なども持っていくことを推奨します。

「物資」よりも「お金」を送るのが良い

先ほどお伝えしたとおり、被災地で大規模な停電が発生したのであれば、電力会社という「団体」が対応します。それと同じく「物資不足」に対しても、基本的には自治体や企業が対応します。

ですから、原則として個人で物資を届けるのは控えましょう。
そもそも、「送られてきた物資に対応する人員」を被災地で用意できない可能性が高いからです。
また、個人が「被災地が本当に求めている物資」をピンポイントで送ることも困難です。

支援したいという善意で被災地には物資が届きますが、阪神淡路大震災の際は不要な物資を廃棄するのに2000万円以上かかったという報告もあります。
これは、もはや「新たな被害」と言わざるを得ません。

したがって、個人で何らかの支援をするのであれば、「募金」にしておきましょう。
お金であれば、たとえ1円であっても必ず役に立ちます。
ただし、いわゆる「募金詐欺」に遭うこともないとは言い切れませんので、お金の送り先には重々気を付けてください。